「もしもし…」

「え…」

この豪雪の嘆きのメロディーの中に微かに男の人の声が聞こえる。

「もしもし!大丈夫ですか!」

これは幻ではない。彼女は残っていた気力を振り絞り男性に助けを求めた

「助けて!」

これが凍えかけた声での精一杯の叫びだった。

「体が冷たいじゃないか!このままじゃ君の命が危ない!君の家は何処だい?」

彼は焦りながらも少女に優しげな口調で語りかける。
「私には帰る場所もないの。記憶がないの…」

記憶がない?もしかして彼女は記憶喪失か?
といっても、彼女をこんな雪の中においていくわけには行かない!