抵抗する間もなくあたしの人差し指は祥平くんの鼻の頭を触っていた。
くにゃっと骨の感覚がなく鼻が潰れる。

「ふぉわっ!」

今まで味わったことのない感触に奇声をあげて慌てて指を離した。

「いい反応!」

祥平くんはあはっと笑った。
すると徳美が横から祥平くんの鼻をがさつに何回も押す。

「まったくこの鼻気持ち悪いよね~どうなってんのって本当思うわ」

「仕方ねーじゃん、生まれつきだし」

そこから二人は言い合いを始めてしまった。

なんだかんだいって口は悪いけど仲良しなんだな、この二人!
いいな~こういう関係…

そんなことを思いながらフフっと祥平くんと徳美を見て笑うと二人は言い合いをやめて不思議そうにあたしを見た。

「なに?杏菜?」

「いや~二人とも仲いいなと思って!ちょっと憧れる!」

そういうと二人は顔を見合わせて本当に同時に手を顔の前でひらひらさせた。

「ないない!コイツと仲良しとか誰情報だよそれ!ってか見てたぢゃん言い合いしてるの?」