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「ちょっ!杏菜!?……杉杏菜ぁぁぁ!」

「え…?」

徳美が名前を大声で呼ぶからあたしは走っていた足を止めた。

「なに?どうしたの?いきなり腕掴んで走り出すし…ってか速いしぃ!?」

「あ…や…えっと……」

あたしはしどろもどろになりながらきつく掴んでいた手を離した。

「なに?田渕くんになんかされたの?」

徳美がその不自然な対応に眉をしかめて聞いてくる。

"田渕"という名前を聞いてあたしはドキッと反応してしまった。

「!?やっぱなんかあったんだね?話し聞いてもいいよね杏菜!」

真剣な徳美の瞳…
心配してくれてる…

「いや…なんもされてないって!ただ一人で勝手に盛り上がっちゃっただけ…」

そう呟くと徳美は何かを察しあたしの頭にぽんぽんと手を載せた。

「杏菜もちゃんと女子高生やってんじゃん!よーし今日は駅ビルのクレープ屋さん行こう 」

そういって今度は徳美があたしの手を掴んで昇降口に走り出した。
あたしはその捕まれた腕を微笑んで見つめてから、ん?と首をかしげる。

女子高生やってんじゃん!ってどういう意味?
あたし今まで女子高生できてなかったの?
うーん…………ま、よくわかんないしいっか!
クレープクレープ♡♡