「終わった〜」

二人の間の沈黙を先に破ったのは田渕くんからだった。
大きく伸びをして荷物をまとめ始める。

「ちょっと〜なんか二人の間に不穏な空気流れてたけど大丈夫?」

徳美が後ろから心配そうに二人の間に割って入った。

「いや…ちょっとね〜。さ!帰ろ帰ろ!祥平くん、田渕くんじゃあね〜」

荷物をさっさとまとめ二人にあたしは手を振りながら徳美を押して会議室の出口に向かった。
それに無反応な田渕くんは反対に優しい笑顔で手を振っている祥平くんのことを促してあたしたちと同じく会議室をでようとする。
そこで田渕くんは何かに気付き

「杉杏菜!」

少し先にいって階段を降りようとしているあたしをそう引き止めた。
"何!?"とビクッとなって振り返ると田渕くんが呼んでいるのが目に入った。

「なーにー?」

小走りに田渕くんの元へ駆け寄ると田渕くんはあたしに近づき周りに聞こえないよう少し声を小さくする。