頭をぐるぐるさせながら思考を巡らせていたため田渕の最後の言葉はもちろん耳には入っていなかった。
「?」
田渕くんは"馬鹿"といったのに無反応なあたしを不思議に思って覗き込む。
すると覗き込まれていたあたしが勢いよく田渕くんのほうを向いた。
「おわっ!?」
勢いが良すぎて田渕くんは驚き、声を漏らした。
「でもさ、あの…さくらちゃん今2つ年上の彼氏とずーっといっしょだって…」
「えっ?あぁ…上手くいったんだ」
「え、それって----っ」
意味ありげな言葉を口にして田渕は悲壮な瞳で遠くを見つめた。
あたしは深く追求したいと思ったがその様子を見てなぜかこれ以上踏み込んではいけないような気がしてなにも聞くことができなかった。
まただ…
助けてもらったあの日の帰り道でも同じように線が引かれた。
その線から作られた壁があたしと田渕くんの間にある。
なんで…かな…。
そのまま沈黙の状態が続きいつしか時間がたって臨時委員会は終わりに近づいていた。
各クラスごとにプリント類が配布され、委員長の"以上"の言葉を聞き委員はそれぞれ席を立った。

