「並木オマエやれよ」
「……あぁ」
並木と呼ばれた人が指令され少年に近付く。
冷たく冷めきった目をして拳を堅め振り上げた。
あたしはその冷めきった目を見ていてもたってもいられなくなり、気づけばその集団に向かって駆け出していた。
「だめーーー!」
上に上げられた腕を押さえて抱きしめる状態になる。
「!? なんだオマエ!?」
突然飛びついてきたあたしを見てみんなギョッとしている。
その中に紛れて少年もいっしょに驚いて固まってしまっていた。
「早く逃げて!」
そう叫ぶと少年は慌てふためいて逃げていった。
「おい!てめぇ」
集団のひとりがあたしを引きはがして顔をつかんだ。
「ひゅ〜意外と可愛い顔してるじゃん」
「あんたアイツを逃がしたってことは俺らの相手はあんたがしてくれんの?ん?」
リーダー格の人が顔を近づけてそうささやく。
怖い…。
あたしはその人の目をみて恐怖心を煽られた。
誰か傷ついても関係ない。
自分が楽しければそれでいい。
仁義の微塵も感じさせない目。
でも…!
あたしは顔を左右に振ってつかまれていた手を振りきって並木という人の手を掴んだ
「この人もらいます!」

