濃い恋来い!


「あ!杏菜〜」

徳美は下の方であたしにピースをする。
それを見てあたしはむっとしてその手を軽く払う。

「それにしてもあの徳美がよく企画執行とか選んだな」

田渕くんと一緒にいた男子は驚いたようにそういうと徳美はむすっと

「"あの"ってなによ"あの"って!それは祥平もじゃん。"あの"祥平が企画執行〜?」

「"あの"は余計だよ。俺はくじ引きで運悪く…で真宏は道連れ〜」

「可哀相な田渕く〜ん!」

そんなふうに徳美と祥平と呼ばれた男子は仲がいいのか悪いのかわからないような掛け合いを続ける。

あたしはそんな二人をみて耐え切れずあははっと笑った。

「仲いいね〜。徳美と…えーと…」

あたしは言い合いをしていた男子の方をみて言葉を詰まらせると徳美があぁ!と気付き紹介をする。

「これ並木祥平!同中同クラだったの」

「あ!どうも、はじめま…して?あれ?」

名前を聞いて挨拶をするが首をかしげた。

ん…?なんかどっかで会ったことある気がする…。

「なんだそれ?"はじめま…して?"って」

田渕くんと徳美は不思議そうにあたしを見てきた。

「なんかどっかで…」

「そりゃ同じ高校で1年いっしょに過ごしてれば見たこともあるでしょ?」

徳美が当たり前のような顔をしていうがあたしは首をひねる一方。

なんかもっとずっと前に…
並木祥平。
な・み・き・しょ・う・へ・い
うーん…気持ち悪い〜

「あのさ…」

あたしが必死に思い出そうとしているのを見て祥平くんは苦笑いしながら話しかけると、あたしはそこでやっと自分が相当失礼なことをしていることに気付き慌てて頭を下げる。

「ごめんなさい!必死で!………あっ!」

この台詞…。

その言ったと同時に記憶が蘇り祥平くんに指を向けた。

「並木祥平ってあの並木祥平くん!?」

あたしは蘇った記憶を思い返し笑顔でその記憶を話しはじめた。