濃い恋来い!


残された祥平たちは一瞬キョトンとして次の瞬間にはあっはっはと大爆笑していた。

「はぁーあいつ杏菜ちゃんのこと相当気にしてるみたいだな〜」

「珍しいもんな、あんな頑なに秘密にしたがるなんて」

「なんつぅか今流行りのツンデレ?」

「ちょっと可愛いかったりすんだよ…」

「おいやめろよ、そういう危ない発言っ」

笑うだけ笑ったあと田渕の姿を視界の端に置きながらみんな田渕をネタにする。

「でもちょっと残念だな…杉いいな〜って思ってたのに恋敵の相手が田渕じゃね〜」

「いや!まだわかんねぇよ?深読みしすぎかも…」

「あれ?でも確か前田渕が最初で最後の本気の恋したって…」

「なんだそれ!?俺知らねーよ?詳しく詳しく!」

「確かあれは田渕が中学二年の冬……」

みんなその田渕の過去の恋愛トークに耳を傾ける。
そんな中祥平一人だけがなぜか暗い顔を見せていたことに誰もが気づくことはなかった。