徳美に昨日のことを話していたら先輩への恐怖心がいつの間にか怒りへと変わっていった。

「ーっていうね…」

あたしがしゃべり終わったころには降りる駅まで来てしまっていた。

「はぁぁぁ!?なにそれ!?とりあえず榎本ありえない!」

「…徳美さん一応先輩だかんね?」

「あぁ〜あたしの見込違いだったよ…杏菜ホントごめん…あたしが行かせたようなもんだよね…」

苦笑するあたしに徳美はそう謝ってくる。

「違うよ違うよ!最終的に決めたのはあたしだし…気にしなーい!ってかとりあえずムカつくー!」

そういう笑顔で拳を固める。

「ってかさ!田渕くんって意外と優しいとこあるんだね〜噂じゃ評判最悪だよ?」

「徳美あたしの話ちゃんと聞いてた!?その噂あたってるじゃん!"まな板"だよ!?"色気ない"だよ!?」

あたしは頭をわしゃわしゃする。

「そういうのが色気ないんじゃない?」

くすくす笑いながら徳美はぼさぼさになったあたしの髪を落ち着かせてくれた。

「はぁーなんか徳美に話聞いてもらったらちょっと楽になったかも…」

「ん!よーし、じゃあ田渕くんについてもう少し掘り下げようか!」

「は?だからなんで朝から田渕トークしなきゃなんないのさー」

二人はそんな言い合いを続けながら駅から学校まで向かった。