「ねえねえ!さくらちゃん!」

リビング入るや否やあたしはソファーに座ってテレビを見ているさくらちゃんの隣に座った。

「なに〜?ってか杏菜ちゃん!さっきの人誰!?顔よく見えなかったけどさ…杏菜ちゃんに彼氏とか初めてでお姉ちゃん泣ける」

「や…違うし彼氏じゃないし」

さくらちゃんが泣きまねをするのを見て苦笑いしながらあたしは答えた。

「違うの〜!?残念…」

「ってか!なんで男の子といたってわかったの!?リビングから見えないじゃん」

「二階の部屋で見たの。なかなかいい雰囲気だったけど?で誰?」

さくらちゃんはテレビを見るの止めてあたしの方に向き直る。

「さくらちゃん知ってるはずだよ?」

「あたしが?なんで5つ年下の男の子を?……まさか」

初めは笑い飛ばしていたが一瞬目を見開いた。
あたしは不思議に思いさくらちゃんをみる。

「田渕くんだよ?…わかる?」

「真宏…」

さくらちゃんはそう田渕くんの下の名前を親しげに呼んでから愛しそうに微笑んだ。

「知ってるんだ」

「ん?いや…聞いたことはあったかな」

はっと我に返ったさくらちゃんは繕った笑顔で曖昧に答えた。
あたしは意味ありげだと思いながらも深く追求することができなかった。