「ただいま……!?」
「おかえり〜」
あたしが家に入ると玄関には左手にフライパン右手にフライ返しを持ったお母さんが待ち構えていた。
「な.な.何?」
「ふふふ…今日は帰りがずいぶん遅いから心配してたの。そしたらさくらちゃんが"杏菜ちゃんが外で男と二人でいる"なんて言うんだもん!見に来ちゃった!」
「もう!そんなことでお夕飯ほったらかしにしないでよ」
「あらら?否定しないのね〜いいわねぇ青春っ」
お母さんがるんるんしてるのを放って大きくため息をついて家に上がっていった。
あたしのお母さんは少し抜けてる。
というかすごい天然だ。
でも若い頃はあたしと同じ南高で三年連続南ちゃんつまりミス南でいるほどの美少女っぷりでそんなお母さんと恋に落ちたのが2つ先輩で同じく三年連続南くんのあたしのお父さん。
お互い若い内に結婚したからお母さんはいわゆる専業主婦でもちろん家事は見事にできなかったみたい。
今はなんとか上達したみたいだけど…
とまぁみんなが憧れるようなマンガみたいな恋愛結婚をしたお母さんとお父さんだから巷では人気者!
それに加えてあたしのお姉ちゃんのさくらちゃんは今をときめくスーパー人気モデル。
背が高くってどちらかと言えば綺麗顔のさくらちゃんは年上年下同年代から圧倒的に支持されてるの
だからご近所さんからは"ミラクル家族"って噂になってるらしい。
ま、あたしはというとそのミラクルに全く貢献していない一人なんだけど…
やっぱり家族のいい噂は嬉しいもんで自分のことのように幸せになれる。
そんな家族の一員であたしは幸せ〜。

