「あっれ〜?そこにいるのって榎本先輩じゃないっすか?」
突然駅側のほうから男の子が歩いてきた。
逆光でよく顔が見えない。
「誰だっ!?」
「南高2年田渕でーす」
先輩は田渕と名乗る男を睨みつけた。
南高2年の田渕!?
それって隣のクラスで
なんだか最近女子に騒がれてる
あの田渕真宏!?
「ちょっとちょっと!南高を代表する南くんがこんなとこで女襲ってていいんすかね〜?」
「別に襲ってなんか…」
「んー!んー!」
あたしは田渕くんに助けを求めるように叫んだ
「あれ!?杉杏菜じゃん!?」
田渕くんはわざとらしくそう言ってニヤッと笑った。
そして制服のポケットから携帯を出してボタンを押す。
《せっかくだし…記念作ろうよ…》
《やっ…!?》
《杏菜ちゃん…俺ずっと君を見てた…中学のときからずっと…》
な、なにこれ!?
さっきの先輩との会話!?
ずっと撮られてたの!?
「くそっ!」
そういって舌打ちをしあたしを解放して先輩は荷物を持って走り去って行った。
「はぁー」
あたしは肩の力が一気に抜け大きなため息をついてその場に崩れ落ちた。

