「せっかくだし…記念作ろうよ…」
そう小さく先輩はつぶやいてニヤッと笑った。
なに?さっきと違って怖い…
気持ち悪い…!
あたしはそれを見て一歩後ずさる。
するといきなりあたしの両手首を押さえ込んだ。
「やっ…!?」
あたしは叫ぼうとしたがそれを阻止するように先輩の右手が口を覆った。
な、なに!?
いきなり何すんのよこの男!?
じたばたしてみるものの女の力が男に勝てるわけもなく
「杏菜ちゃん…俺ずっと君を見てた…中学のときからずっと…」
は?何?
何でそんな前から?
ってか何であたしのこと知ってるの?
「んー!んー!」
何か喋ろうとしても先輩の手が邪魔で言葉にならない。
「わかるよ…なんで俺が君を知ってるかだろ?」
「!?」
「同じ塾だったんだよ…杏菜ちゃんはいつもキラキラ輝いてて…俺はそんな杏菜ちゃんをずっと見てた…もちろん君は俺を知らないだろうけどね!」
そういって一瞬哀しそうな顔をした後にぃーっと怪しい笑みを浮かべて顔を近づけてきた
「やっと…やっとだよ!俺の夢が叶う!杉杏菜が俺のモノになる!」
はぁ!?
やっとって何時よ!?
あたし何時この人のモノになるってのよ!?
「んー!んー!」
どんどんと顔が近づけてくる。
あたしは首を振って掃おうとしたがそうはいかず
「あんまり暴れんなよ…すぐ楽になるから」
やだ!
やだやだやだやだやだ!
気持ち悪い!
誰か…誰か!
誰か助けてー!
あたしは少し余裕の出た右足で先輩の足にかかと落としを食らわせると口を覆っていた手が緩んだ。
「誰か!誰か助けてーっ!」
大声で叫んだがこんな場所に人がいるわけもなくあっさりまた先輩の手の内に入ってしまった。
「ふんっ手間とらせやがって…」
…もう終わりだ
グッバイあたしの初めて…
そう思った時だった

