そして、ふわりとわたしの好きな匂いが広がった。
白い生地がすぐ目の前にあった。
わたしはきみの腕のなかにつつまれていた。
『よかった』
『え?』
『俺も、今日そのつもりだったから』
いつもより近い場所で聴こえるきみの声は、すごく心地よかった。
『智咲、俺名前で呼びたい』
『じゃあわたし、ユウくんって呼んじゃう』
『ははっ、なにそれ』
『なに、駄目なの?』
抱きしめあいながらも、きみが笑顔になったのがわかった。
『いいよ、ユウくんで』
きみがわたしを抱きしめる力が、少し強くなったような気がした。
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