「お仕事?」


「鎮守って分かるかい?」


「ちんじ……珍獣?」


圭吾さんは吹き出した。


「鎮守だよ。この地の災厄を鎮め、この地に住む人達を守る事――それが僕ら羽竜一族に課せられた本来の仕事なんだ」


「じゃあ、圭吾さんはみんなを守るために、頑張ってるのね」


「志鶴にかかったら、スーパーマンにされそうだ」

圭吾さんは苦笑い。

「そんな大袈裟なものじゃないからね」


ううん。そんなことない


だってほら、

神社に着いたら、境内に人がたくさん集まっていて、誰もが圭吾さんに挨拶するわ。

圭吾さんは信頼されて、尊敬されている。

あれは、圭吾さんが旧家の当主だからじゃない。

圭吾さんがみんなのために、ちゃんとお仕事をしているからよ。



圭吾さんは片手に龍のケージを持ち、もう一方の手でわたしと手をつないで、軽く挨拶に答えながら、わたしを連れて境内の奥にどんどん進んだ。