彩名さんが心配するように、圭吾さんはとても疲れていたようで……

ちょっとくらいイライラするのは当たり前だわ。

なのに、わたしったら小さな子供みたいにビクビクしちゃった。


バカみたい


わたしは急いでもう一度ドアを開けた。


圭吾さんはもういなかった。


ああ、どうしよう


「大丈夫よ」


目をやると、彩名さんが自分の部屋の前にいて、こっちを見ていた。


「あの石頭も、自分が体を壊したら志鶴ちゃんを守れないって良く分かったでしょうから」


「でも……」

わたしはうつむいた。

「わたし、子供みたいに過剰反応して、圭吾さんの負担になってる」


フワッといい匂いがして、彩名さんの腕がわたしを包み込んだ。


「いい子ね。無理を承知で言うわ。圭吾といてあげて。ずっとずっと側にいてあげて」