「彩名」

圭吾さんはわたしを見つめたまま言った。

「彩名の言う通りだ。僕は少しばかり傲慢だったようだ」


「少しばかり?」

彩名さんの声が、圭吾さんの後ろから聞こえる。


「訂正。かなり、だな」

圭吾さんは自嘲ぎみにそう言ってから、わたしに

「もう寝るところだったのかい?」

と、聞いた。


わたしはコクンと頷いた。


「大きな声を出して悪かった」


いつもの優しい圭吾さんだった。


わたしは小さな声で、『お休みなさい』と言ってドアを閉めた。


そのままドアにもたれて考える。


圭吾さんには支えてくれる人が必要なんでしょう?

圭吾さんのお仕事ってそんなに大変なの?

校長先生なら、手伝ってあげられるの?

圭吾さんは、本当は校長先生と仲直りしたくて、校長先生だって仲直りしたそうだった。