わたしはちょっと考えた。


「違う気がする」

「なんだ」


なんだって何よ?


「志鶴は僕のお嫁さんになるって話、考えてくれた?」


しまった!

あれから――わたしをお嫁さんにほしいって圭吾さんが言ってから、何日もたつけれど、

焦った自分がバカみたいに圭吾さんの態度が変わらないから油断していた。

あれって、やっぱり冗談じゃないの?


「実はさっき、母が『見合いしろ』ってあまりにもうるさいから、志鶴を嫁に欲しいと言ってしまった」


へっ?


わたしはスプーンをくわえたまま、唖然として圭吾さんを見返した。


「で……でも圭吾さん? あのね――」


「待った。今すぐという話じゃないんだ。返事は三田の叔父さんが帰ってきてからでいい」


「だって――」


「OKの返事ならすぐほしいが、断るつもりなら、叔父さんが帰ってくるまでの三年間保留にしてもらいたい」