「ユキーっ!」


名前を呼ばれた白い龍が旋回する。

純白の鱗に陽射しが反射してキラキラキラキラ光る。

「あいつも速くなったな」

圭吾さんは手をかざして陽射しをよけながらわたしの龍を見て言った。

「後はわたしがどれだけ正確なタイミングで笛を鳴らすことができるかよね」

「そういう事だ」


闘龍は障害物をかわしながら速さを競う競技だ。

相手の走路を妨害するラフプレーも認められている。

龍の種類は体の色から黒、白、赤、黄、青の五種類。

わたしが選んだ白龍という種類は、飛速は速いけれど、躯体が小さい分ぶつかり合いに弱い。

できるだけ正確な飛行で逃げ切る事が要求される。

障害物の間を飛ぶ龍には次の障害物が見えない。

『龍師』と呼ばれるわたしたち人間が専用の笛の音で飛ぶ方向を指示するのだ。


笛をくわえ、長く吹く。


するとわたしの龍、シラユキは急降下して止まり木にとまった。

わたしは餌壷のふたを開け、長めのピンセットで中身を一本取り出した。


おわぁ 動いてる