「母もわたしも志鶴ちゃんがいらっしゃるのを楽しみにしておりましたのよ。妹ができたようで嬉しいわ」


わたしも、こんなお姉さんがいたら嬉しい事は嬉しいけど――


わたしは落ち着きなく周りを見回した。

ここはお城の庭園か、ってくらい手入れの行き届いた純和風の庭が広がっている。


やっぱ 家に帰りたい~


「さ、どうぞお上がりになって。母もお待ちかねですわ」


こうして、わたしは逃げ出す事もできず、彩名さんにしっかりと腕をつかまれ、半ば押し込まれるように羽竜家の敷居をまたいだのだった。