「圭吾さん! 圭吾さん! ねぇ、下に下りられないの?」


「あっちに階段があるよ」


三階のテラスから下の庭園まで長い螺旋階段が続いていた。

手すりにつかまりながら駆け降りる。


すごい


すごい


目の前で龍が宙返りする。


息を切らして、最後の二、三段をすっ飛ばして地面に飛び降りると、草の間から小さな龍達が昆虫のように飛び出して行った。


「ねぇーっ! ここは何ぃっ?」


高い空を見上げながらきく。


「龍の棲息地ってとこかな」

すぐ後ろで圭吾さんの声がした。

「岩山の方に洞窟があるんだ。そこであいつらは産卵して孵化する。海岸の崖沿いにも何カ所かに群れがいるよ」


「こうやって見ると、本物の龍みたい」


「だって本物だもの」


「トカゲの一種でしょ?」