連れて行かれた先は、圭吾さんの住む三階だった。


私と彩名さんの部屋の前の廊下の突き当たりにドアがあって、そこから上の階に向かって細く急な階段が続いている。

階段の途中の壁には窓がなく、代わりに小さな明かりが手すり沿いに等間隔で並んでいた。

階段を上がりきってまたドアを開けると、そこは眩しいほどの日差しが差し込む広い部屋だった。

圭吾さんの横を突っ切って、黒い龍が開けっ放しの大きな窓から外に飛んで行った。


「おいで」


圭吾さんに手を引っ張られ、龍の後を追って窓からテラスに出る。


「志鶴、下をご覧」


テラスのフェンスに手をかけて下をのぞきこむと――


うわぁ!


そこはレンガの高い壁と岩山に囲まれた緑の庭。


色とりどりの花々が気ままに咲き乱れ、岩山からは細い水の流れが幾筋も滝になって流れ落ちていた。

木と花の間を縫うように龍たちが低く滑空していて、翼が日差しをはじいて光る。