「そう」


「闘龍用の龍を見た事もないのに?」


「うん」


一瞬の沈黙の後

圭吾さんはゲラゲラと笑い出した。


そんなに笑う事ぁないでしょ


ココアを持ってきてくれた和子さんが『まあ』と呟いた。


「君にはちょっと無理だと思うよ」


笑いながら言う圭吾さんの言葉にムッとした。


「頭から決めつけなくてもいいでしょう? だいたい『龍』って何?」


「文字通り龍だよ。ドラゴンさ」


へっ?


「ほら――」


圭吾さんが軽く手を上げると、バサバサッという羽音がした。

伯母さまと和子さんが小さく悲鳴をあげる。

目の前でホバーリングしているのは小型犬くらいの大きさの生き物で、コウモリみたいな薄い膜のついた翼を広げている。