「恋愛結婚はダメなんですか?」


「そんな事はないよ。ただ――恋愛するにも相手がいないとね。

みんなが心配してくれているのは分かっているんだ。親戚が多いのも良し悪しだな。

志鶴もそのうちに会うことになるよ。大叔父、大叔母、はとこ とかね」


うわぁ 会いたくない


「まずは学校だ」


車が右折した。

4階建ての大きな校舎が見える。


「そのままでいて」


圭吾さんは車を停めて降りると、ぐるっと助手席側に回って来てドアを開けた。


「ようこそ、清流学院へ」

差し出された手を思わず取る。

「ここの理事長も僕等の親戚だよ」


へっ? うそ 聞いてない


「でも、羽竜家側の人ですよね?」

「うん、そう。父の弟なんだ。でもうちにいる間は君も羽竜家の者だよ。周りはそう見るし、そういう扱いをすると思うから」