何よ?


「自分の結婚の話より、紅茶の話が優先事項なのかい?」


うーん……だって『結婚』って言っても、実感が湧かないし


「砂糖はなしで。それから、話があるからこっちへおいで」


わたしは圭吾さんにティーカップを渡した後、自分のカップを手に、圭吾さんの横に座った。

わたし達の向かい側には、伯母様と彩名さん。


「結婚は、志鶴の二十歳の誕生日が過ぎてから。当分、正式な婚約はしない」

圭吾さんはぶっきらぼうに言った。


「揉めてた割に、もうそこまで決まったの?」

わたしは驚いて言った。


「僕が叔父さんの条件を全部飲んだからさ。僕としては、君の高校卒業と同時に結婚したかったし、なるべく早く正式に婚約したいと思ってた」


「よく分からないんだけど、『正式な婚約』って?」


「結納のことよ、志鶴ちゃん」

伯母様が言った。

「お婿さんの側から、縁起のいいお品物をお嫁さんの家に納めて、両家で結婚の約束を交わすのよ」