カーテンのすき間から差し込む月の光に誘われ、わたしは外へ出た。

テラス窓を開け

螺旋階段を降り

龍たちのいない夜の裏庭に



月明かりの中、岩の上を流れる水の音の他は物音ひとつしない。


静寂で平穏


世界中で自分が一人ぼっちだという気分になる景色だ。

濡れた草の上を歩きながら考え続けた

圭吾さんのどこが問題なのかという彩名さんの問いかけを

『誰のものでもないのなら僕のものにしてしまって何が悪い?』という圭吾さんの言葉を


本当は分かってる


圭吾さんを『お兄さん』に分類してしまう方がわたしにとっては楽なんだ。


ただいるだけで可愛がってもらえるから

優月さんと比べられる事がないから


わたしは卑怯?


でも怖いもの

大切な人はいつもわたしを置いていく

圭吾さんに心を明け渡して、置き去りにされたらどうしたらいいの?