ゆっくりと海を染め上げながら太陽が沈もうとしている。

まだ足がふらつくわたしは圭吾さんにもたれかかるようにして海を見ていた。

日が海に沈むその瞬間――


あっ!


太陽が二つの岩の間に沈む。

そこから鳥居を通り神社の社殿へと、光が道のように真っすぐとつながった。


そしてバタバタとものすごい音がして、

龍が 龍たちが

いっせいに海に向かって飛んでいく。


「圭吾さん、あれ!」


「うん、竜宮の門が開いて龍神が社に降りたんだ。そして龍たちは竜宮に帰るんだよ――まあ実際のところはあいつらの繁殖期で崖に向かうだけなんだけどね」


「そうなの? でも、キラキラ綺麗」


龍たちの翼が夕陽をはじいて光っている。


「本当、綺麗だ」


圭吾さんの声が耳元で聞こえ、左側の頬に何かが触れた。