肩にそっと手を置かれて飛び上がった。


「お疲れさま」


ああ圭吾さんか


「負けちゃった。でも楽しかったぁ」


「彩名から預かってきたよ」


ふわっとかけられたのは薄物の羽織。

圭吾さんが袖を通してきちんと着せてくれた。

外国の映画ならね、

コートを着せかけてもらう女性ってセクシーな大人の女性だけど、今のわたしは手のかかる子供みたい


「あれ?」


圭吾さんはわたしの体をくるっと回して自分の方に向けた。

親指がわたしの左の頬骨をなぞる。


「ケガしてる」


「スタートの時、ユキの羽がかすったからかな。痛くはないよ」


「ならいいけど。もうすぐ日没だから見に行こう」


「ユキはどうするの?」


「あいつらは今日は放っておいていいんだ――美月ちゃん、優月は裏参道で待ってるってさ」