竜田川美月の妄想の爆走を止めてくれたのは、『子供の部始まります』というアナウンスだった。


「行かなきゃ! 三田先輩、早く早く!」


「私たち『子供の部』なの?」


「何言ってるんですか。違いますよ。見に行くんですってば!」


無理やり手をひっぱられ、仮設テントの裏に連れて行かれた。

先客が何人かいる。

どうやら木立の陰から闘龍場が見られる場所らしい。


「中学生以下は『子供の部』なんです。わたし、去年まで三年連続優勝だったんですよ」


そいつはすごい


「で、今年の優勝候補は中三の羽竜大輔(うりゅう だいすけ)。わたしの幼なじみで闘龍のライバル」


「また羽竜なの?」


勘弁してよ。親戚軍団。

いささかげんなりしてそう言ったが、美月は全く気付かない。


「そうですよ。校長の一番下の弟ですから、先輩とは義理の従弟ですね!」