―そんなとき、琉粋が私の所に来た。



そして、


「なんで別れなきゃいけなかったのかな?」


ってハハッて笑っていたけれど目は悲しそうだった。


今にも泣きそうなくらいに。



「ま、まだ・・・咲若先輩のことが好きなんですか?」



震える声で言った。



「うん」って言われるのが怖いのに。



「振られて本当に好きなのか見直したら俺にも他に好きな人いるんだなって思った。やっぱり俺も冷めてたんだなーって。」


もしも、もしも先輩の好きな人がわたしだったら?



・・・なんて叶わないことばかり考えていた。



「誰ですか?」


本当に私って馬鹿。


自分が傷つくのに。



「中山玖美」



あっ、玖美だったんだ。



誰よりも同感してくれて相談していた玖美だったんだなんて。


玖美に合わせる顔ないよ・・・。








「嘘。俺が好きなのは“ハル”」


「えっ?」


「だから、俺が好きなのは目の前にいるハル。ちょっと中山に協力してもらってた」



だなんて照れて言われてもこっちは窒息寸前。


泣きたいけど泣いたらダサいしウザいし・・・。でもああ、涙が出る5秒前だ。



「ほっ、本当ですか・・・ぁ?」



「うん」



「嘘じゃないですか・・・っか?グスッ」




「うん。ってなにハル泣いてるんだよー(笑)可愛い顔が台なしだよー」



ってクスクス笑って涙を拭いてくれた。




世界で一番嬉しい日だと思う。





―別れた今でもそう思うから。