秘密の。

アドレスを交換して私が向かったのは、いつもの場所。

ガラ…

中に入ると矢吹くんがいた。

「お。どーだった?」
「何が?」
「相原と。」
「え?見てたの?」
「何言ってんだよ。相原と逢わせたの俺だぞ?」
「え?じゃああれって…」
「そう。俺の作戦。」

矢吹くんって…。

「で?どーだった?」
「一緒に帰らない?って。誘われた。」
「おー!すげーじゃん!いつ?」
「今日。」
「え?今日の掃除は?」
「…あ!ごめん!断るよ!」
「……。」

あれ…怒っちゃった?

「矢吹くん?」
「やっぱ…辛いな…。」
「え?」
「いや、なんでもない。 いーよ。行ってきな。」
「でも…。」
「いいって言ってんだよ!」

矢吹くんの怒鳴り声は旧校舎全体に聞こえてるんじゃないかってぐらい響きわたった。

「あ…わるい…。」
「私こそ…」
「でも…もーほんと、大丈夫だから。」

そう言って矢吹くんは部屋を出た。