ペラペラとページを捲る音が部屋に響く。

いつも学校で読みながら歩く(徘徊とも言う)時とは違い、ページの音が響くだけで、他は無音だ。

――…ピーン、ポーン…

「…?」

首を傾げながら読みかけのジャンプを置き、琉は立ち上がる。

「(チッ良いトコだったのに)」

軽く舌打ちする琉は、若干黒い。

実は琉の家は、学園の近くにある。

しかも独り暮らしなので彼女の家には沢山の人が集まる。

「はいはーい」

先ほどの黒さを隠し、慣れたようにかるーく返事をして、ぺたぺたと裸足で玄関まで歩いて行く。