ふと気付けば、自分はもう濡れてなくて、『あぁ、自分は助けられたんだ』とわかった。

「――…起きたか、小娘」

名前を名乗ったのに、小娘呼びって何!?

「…」

無言で男を睨むと、男は人をバカにしたような顔をした。

「……アンタ、名前何」

「…クロード」

自分の問い掛けに、渋々と答える。

「クロード、」

ぼそりと呟くと、彼は嫌そうに顔をしかめた。

「………ありがとう」

その顔は見なかったことにして、思ったままの言葉を口にし、重くなってきた瞼を閉じた。