《クロードの想い、》

――…ありがとう。

琉がここに来て、初めて見せたという笑顔。

それを一番最初に見たのがなずな。

その話を聞いた時クロードは、それがとても腹立たしく、そして同時に悔しかった。

――…拾ったのは、自分なのに、と。

そう思ったクロードは八つ当たり気味に、なずなに制裁(笑)を下し、琉の部屋に訪れた。

コンコン

「…、…名前…、貰ったんだってな」

ドア越しに琉に話しかけるクロード。

「…うん、もらった」

カタ、とドアが動いたが、開く気配はない。

「(…出会った当初よりは、多少の変化はあるみてぇだな。)

…なあ…琉」

「ん」

クロードは、返事を返す琉に気付かれないように、笑う。

「……明日は、出てこいよ」

一瞬何を言うか悩んだクロードだったが、けっきょく最近思っていた事を言った。

「……わかった」

琉はちょっと黙ったが、楽しそうに答えた。

――…クロードは気付かない。

自分が、今どういう顔をしているのか……。