それは自分が拾われてから3日ほど経った時の話。

この日はまだ体調も万全じゃなくて、この家に住む人数すらまだ把握出来てなかった頃。

病みすぎて心というものがわからなくなって、感情やクロードに教えた名前まで無くしかけていた自分を、永遠の暗闇から救い出してくれたのは、クロードではなく、

「よお、"琉"」

なずな、だった。

今は扱いが悪いけど、この時(だけ)は感謝している。

「晴れてんで~、今日は外に出てみるか~?」

現在自分が関西弁を使っているのはなずなに影響されたからで、けして関西出身ではない。

「…」

無言で空を見た。


―――…前まで毎日見てた、綺麗な青い空が、自分を見下ろしていた―――…