ジャンプを読む気が失せてしまった琉は、家の鍵と財布、携帯だけを持って、ふらりと外に出た。

……きっと、琉を知る人間からすれば、こんな風に行動を起こした彼女を、とてつもなく心配してしまうだろう。

それほど珍しいのだ、琉がジャンプを放置して、さらに外出することが。

「…はあ~…」

琉は激しくため息をついて、空を見上げる。

どんよりと雲がかかっていて、ますます琉のテンションが落ちていく。

先ほどとはだいぶ差が激しい。

「はぁあぁ~~~~」

また激しくため息をついて、近くのベンチに座った。

「(絶対あの夢のせいやん…、あぁもう…勘弁してぇな…)」

両手で顔を覆い、琉はその感情を隠そうとする。

「――――……さみしい、」

ぽつりぽつりと、琉の言葉と共鳴するように、雨が降り出し、彼女を濡らす。

「……帰りたい、」

あの時期に、と言う言葉は、急にキツくなり出した雨にかき消された…。