「ん?」 俺は立ち止まり振り返った。 「ごめんね…」 美希は俺の手をぎゅっと握る。 「何が?」 俺も向き直り、握り返す。 「この前の事も、今までの事も、全部」 「自分勝手に巻き込んで、自分勝手に突き放して、ほんとにごめんね…」 そう言う美希の目には涙が溜まっている。 「そんなの、もう良いよ…」 俺は美希を引き寄せ抱きしめた。 自分もまだ辛い筈なのに、わざわざ謝りに来てくれた美希が、 俺の目の前で、か弱く泣く美希が、 心底愛おしく感じた。