「おい、聞いてんのか?」 拓実さんがタバコを片手に俺を睨みつけてくる。 タバコは今にも灰が落ちそうだ。 「…」 俺は机の上の灰皿を手に取り、拓実さんの前でひざまずいて差し出した。 「お、おう、サンキュ」 拓実さんは少し驚きながら吸い殻を灰皿に入れた。 「拓実さん、ありがとうございます。」 「やっと見えた気がします。」 俺はそう言って立ち上がった。