「そんなん普通だろ」 拓実さんはあっけらかんと答えた。 「え?」 俺は驚いて拓実さんを凝視した。 「ホスト始める時、何で源氏名つけるんだと思う?」 「…」 拓実さんはタバコに火をつけながら、近くのソファに座った。 「今までの自分じゃない、もう一人の自分になる為だよ」 「…もう一人の、自分になる」 拓実さんの言葉を、呟いてみる。 その瞬間、自分の中で何かが変わった気がした。