どうすんだ俺、この人を逃したら痛いぞ。
「待って!」
俺はとっさに純子さんの肩を掴み抱きしめた。
「ちょっと、竜也?ここ店内よ」
純子さんは驚きながらも、まんざらでもない様だ。
「純子さん…俺、母さんと一緒に住んでるって前に言ったよね?」
口から勝手に言葉が出てくる。
「今母さん体調崩しててさ、今夜は看病してやりたいんだ。本当は店も休もうと思ってたんだけど、純子さんがくるかもって思ったからさ。」
「だから今日はごめんね?明日には落ち着くと思うから。俺は絶対に約束は破らないよ」
スラスラと嘘を吐く。
