「え、これ…」 中には札束がぎっしり詰まっていて、今おろしてきましたと言わんばかりだ。 「こんなに…」 驚いていると、純子さんは俺の手の上に自分の手を重ねてきた。 「それ全部好きに使って良いわ。その代わりと言っちゃなんだけど…分かるわね?」 「……」 自分でも体が強張ったのが分かった。 ついにきた。 『まだ拓実も売れてなかったから、枕とかもしててさ』 先輩の言葉が蘇ってきた。 売れる為には、通らなきゃいけない道。