「えっと…」 正直こんな高価な物俺には勿体無いと思ったし、どれも違いがわからなかった。 「どうした?」 拓実さんはショーケースに腕をついて俺を見ている。 スーツが少しめくれて時計が見えた。 「拓実さんのそれ…その時計、この店のっすか?」 「え、これ?そうだよ」 俺は拓実さんの方を向いて言った。 「拓実さんと同じ、その時計が良いです」 ホストをやるなら、拓実さんの様になりたい。 同じ物を持てば近づける訳じゃないけど、何故かそうしたかった。