「いらっしゃいませ、拓実様」 店に入ると、店員が拓実さんに頭を下げる。 拓実さんはこの店の常連の様だ。 「弘樹、お前の入店祝いだ。好きなの選べ」 「え?俺に、ですか?」 拓実さんは俺に時計を買う為にここに連れてきたらしい。 そう言われショーケースの中を覗くと、高級時計がずらーっと並んでいる。 「遠慮すんなよ!ちょっとこいつに似合いそうなの何個か出してくれ」 「かしこまりました」 店員が何個かショーケースから出して見せてきた。