「なんか…帰ろうとして送りの車(キャバクラ専用の送迎のこと)乗ったんだけど、なんか帰りたくなくて…」 俺の前に立ち、俺の腕を掴みながら美希は言う。 「弘樹君に会いたくなっちゃって」 そして美希が俺の胸の中に顔をうずめた。 「み…美希…?」 心臓がバクバク鳴ってるのが自分でも分かった。 「酔ってるのか……?」 おそるおそる背中をポンっと軽く叩いてみる。 「……」 美希は何も答えない。