田川は遠慮がちに

「…あのー、橘くん絆創膏持ってたりする??」

と聞いてきた。


…あ、絆創膏探してたのか。
いや、小指から血出てたし普通に考えたらわかるか。



でも俺は絆創膏なんて持ち歩いてない。

悪いけど持ってない、と言おうと思った時、今日学校に来る途中のことを思い出した。


確かドラッグストアの前を通った時に、今日開店とかで宣伝のチラシとおまけの絆創膏を半ば無理矢理渡された。


あ、俺絆創膏持ってるわ。


「…あるよ。」

と言って、今日貰った絆創膏を田川に渡す。


まさか本当に俺が持っていると思わなかったのか、かなりびっくりした顔で田川はお礼を言って受けとった。


それと同時に田川は吹き出した。


…なんで笑ってんの?

俺は訳が分からなくて田川を見る


…その瞬間俺は田川に絆創膏をあげたことを後悔した…