ずいぶん遠くまできちゃったなあ
とりあえず私は誰もいない公園の、
屋根付きで中に入れる遊具の中に入った。
最初こそ、見覚えのない所まで来てしまったことに戸惑いと不安を覚えたけど、
絶えず穏やかに降り続ける雪を眺めていると、不思議と気持ちが落ち着いた。
降りしきる雪の助けもあって、公園の遊具の中は完全に外とは乖離された空間を作り出していた。
その誰にも見つかることのない空間で、
私は声をだして泣いた。
―彼が見ていたのは“私”ではなかった。
彼が必要としていたのは“芸能人である私”。
彼は私のことを、自分が優越感に浸るためだけに身にまとう、ただの装飾品のように考えていたのだ。
私は、自分が芸能人であることに初めて苦痛を覚えた。
―もし私が芸能人じゃなかったら、“私”を好きになってくれた??―
