「あの、智晴君……」 私が頭を抱えていると、智晴を呼ぶ小さな声が聞こえた。 坂本さんだ。 坂本さんは智晴に近付いていくと、何かぼそぼそと話して、智晴を連れてどこかへ行く。 ――この流れは、智晴告られちゃう? 呆然として、遠ざかっていく二人を見送る。 ……っていやいや、そんな場合じゃないだろ小宮凜! このまま、お父さんみたいに後悔する羽目になるわけにはいかない。 私は静かに後を追っていった。