図書館が見える頃には、ほんのかすかやけどギターの音が聞こえてきた。ギターの音がだんだん近づいてくると、よくわからんもやもやの気持ちはどっかに飛んでって、音符を追いかけるように走っていった。公園が見えてもまだ走って、そのままベンチまで行った。ベンチに座った頃には息が切れてた。

「あ、また来てくれたんや。嬉しいわぁ。昨日、音楽聞きたくてって言ってたやろ?だから、俺ってばはりきって新作作ってしもてんけど、聞いてもらっていい?」

ぜえぜえ言いながら、懸命に頷いた。

「そんなに急いできて今日はどうしたんや?」

いたずらっ子みたいにニヤって笑いながら彼はギターを手にした。