よくよく考えたら、この世界で誰かを信じるなんて方がおかしいんや。うちはすっかり藤村の事信頼しきってたけど、この慌てようを見たら、自分の思惑通りに進めへんから躍起になってるみたいや。

「うちは自分の体のが大事やし、パーティー欠席するわ。それか、日にち変えといて。藤村、秘書やねんからそれくらいなんとかできるやろ?」

藤村もさすがのうちには逆らうわけないのわかってて、そう言った。
橋元も、してやったりみたいな顔をして

「申し遅れました。私が、ゆきのお嬢様の担当の成田です。」

と自己紹介した。やっぱり名前は橋元じゃなかった。