その日から、どのタイミングにするか、どういう風に逃げ出すか、藤村との作戦会議が始まった。
作戦会議って言っても、普段はお互いに監視されてるから、ただのメモでのやりとり。それも鉛筆じゃないとあかんらしい。ボールペンやと消されへんし、跡が残るからって。ちょっと芯の先が丸くなった鉛筆でメモにちょこちょこっと書いて、相手が読んだみたいやったら消しゴムで消して捨てる。この繰り返しやった。それも日常生活の中で不自然のないようにしなあかんかったから、メモのやりとりは一日に一往復くらいが限界やった。次のパーティーの打ち合わせとかがあれば、藤村がメモとか取る機会が多いから不自然じゃないのになぁ。